大太刀じゃ夜戦は不利すぎる

世間は私たちを別の種族であるかのように区別する。

ガールズバーとレズビアンバーは確かに違うけれど、ビアンバーだから行かないでおこうという考えを持つのは変だ。二次会にガールズバーを選んで、ビアンバーの候補を挙げないのは変だ。


ガールズバーとビアンバーの共通点はいくつかある。

  • 店員が女の子であること
  • お酒が飲めてチャームが用意されること
  • カラオケができること
  • お酒代の他にチャージ料が必要なこと


接客もその場でのサービスもなんら変わりがない。表面上は。

こうやって「表面上は」と付け加える必要があるから、世間は私たちを別の種族であるかのように区別するのだろう。

世間から区別されるのは私たちも本意ではない。

本意ではないけれど、区別してもらわなければ私たちが傷ついてしまうというのも事実。

難しいものだ。


区別されたら傷つく。けれど区別してもらわなければ傷つくこともある。

人は心があるから、傷つきながら生きる生き物だけれど、これ以上傷つきたくないと思うのも人の常だ。

痛いのは嫌いだ。そういうプレイもあるけれど。

でも心が痛むのは、私は嫌いだ。


つまり、配慮が必要なのだろう。

ガールズバーと思って来店されては、私たちが傷つく可能性がある。

だから私たちは「ガールズバーではなくビアンバーですがよろしいですか?」と言う。

ビアンバーということを隠したいのであれば、ガールズバーとして店を売り出せばいい。

けれどそうしないのは、ビアンバーとして店を売り出すのは、ガールズバーとは区別しなければならないからだ。

男性客からすれば「???」だろう。そういう世界なのだ。私たちは。


ガールズバーとビアンバーの違い

  • ガールズオンリーDAYとMIXDAYがある
  • 店員はレズビアンまたはバイがほとんど
  • 来店客の中にもレズビアン、バイ、ゲイの人たちがいる


店内の雰囲気は一見するとただのバーだ。

男性客ばかりいればそこはガールズバーにも見えるだろう。

女性客が多い日は「おっ、ここは女性客が多い珍しいバーなんだな」となる。

表面上はそう見える。そう見えてしまう。

だって私たちは別にレズビアンという名札をつけているわけでもなければ、バイという服を着ているわけではないのだから。

だから誤解が生まれるし、だから誤解を生みたくはない。

難しいのだ。私たちの悩みは。


素直に生きたい。他の人たちと同じように無関心で接してほしい。

友達として。後輩として。先輩として。部下として。上司として。

あなたが彼ら彼女らと接するとき、どういう気持ちだろう。

改めて問うても困ってしまうかもしれない。

つまり無関心なのだ。

いや、正確に言えば関心はあるだろうが、そこまででもない。

ただ「いるな」と関心を持つ程度で、友達ならまだしも、先輩や上司の恋愛遍歴を知っているだろうか?そこまで知りたいと思うだろうか?

私たちはそうありたい。他人から無関心でありたい。


客寄せパンダとしてのブランド力を持っているのは自分たちがよく知っている。

けれど客寄せパンダにはなりたくないのだ。

過剰な関心を寄せられたくはないのだ。

だったらビアンバーで働かなければいいという結論に達してしまうのだけれど笑


世間は私たちを区別する。

過剰な関心を寄せてくる。

私たちは世間から区別されたくはない。

過剰な関心を寄せられたくはない。


けれど、私たちは世間から区別されたい。

男の人は好きになれないこと。セクハラは吐き気がするほど生理的に嫌悪していること。男性客を相手にできない子がいること。


私たちはうまく擬態ができる。

見た目は人間なのだから、言葉も話せるし、働けないということもない。

勉強もできる。運動だってできる。そりゃ通知表にバラつきはあるけれど、そんなのは他の誰だってそうだ。

通知表に「がんばりましょう」の数が多いからってレズビアンなわけではない。

テストの点数が満点だからってレズビアンなわけではない。

平均的な順位だからってレズビアンなわけではない。

私たちはうまく擬態ができる。

私たちはうまく社会の中で働ける。

けれど、だからといってだ。


「では、どうされたいの?」

そう問われたら、正直、答えに困ってしまう。

「区別されたくない。でも区別してほしい」

つまり生きやすい世界がほしいのだ。


客寄せパンダの利点は、文字通り客が寄ってくること。

客寄せパンダの難点は、パンダが傷つく場合があるということ。


私たちだってどうされたいのかわからない。

けれど、端的に本音を言ってもいいのなら、ただ一言。

「生きやすい生き方をしたい」

それだけなのだ。

これは決してレズビアンだけの本音ではなく、ヘテロである男性も女性も一度は思うことだろう。


自分が楽な世界がほしい。

自分が生きやすい生き方をしたい。

その意識は私たちセクシャルマイノリティーの共通意識ではなく、人間すべての本音だと思っている。

だから同じなのだ。

区別されるような生き物ではないのだ。私たちは。

ただ、その本音を叶えようと行動してみたとき、世間に区別してほしいと思うことがあるというだけなのだ。


思春期の男子がオナニー姿を親に知られたくないのと同じように。

小学生の女の子が好きな男の子の名前を友達に知られたくないのと同じように。

3DSではPS2のソフトが使えないのと同じように。

シャフトと京アニじゃ首の角度が違うのと同じように。

大太刀じゃ夜戦は不利すぎるのと同じように。


私たちはただ、本音を叶えたいだけなのだ。

だから無関心でいてほしい。

だから二次会にビアンバーが候補に挙がらないことを変だと思う。

だからセクハラには応じれないことを知っておいてほしい。

だから客寄せパンダであり、客寄せパンダでないことを知っておいてほしい。

私たちはただ、生きやすさを求めた結果、レズビアンバーに集まるのだ。

こちら、働くレズビアン

レズビアンだって働きます。ゲイだって働きます。バイだって働きます。どっちつかずだって働きます。こちら、働くレズビアンではビアンバーで働く店員のブログを掲載。

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